インボイス制度の登録申請手順と注意点とは?税理士が詳しく解説

2022年11月24日

新しく始まるインボイス制度について知ってはいるものの、まだ何も対策ができていない、内容を把握できていないという企業が少なくありません。
消費税が8%と10%と細かく分けられることになったことから、取引先とのやり取りにインボイスの発行が必須とされ2023年10月からインボイス制度が始まります。
そこで、インボイス制度開始までに登録申請をするための手順や注意点について今回は詳しくご紹介します。

【インボイス登録はいつまで?】2023年3月までに登録申請が必要

2023年10月1日から開始されるインボイス制度に対応するための申請は、2023年3月31日までの申請が必要となっています。
正式には申請により「適格請求書発行事業者」の登録番号を国税庁に発行してもらうということです。
申請自体はすでに2021年10月1日から受付が始まっています。
ただし締め切り間際の登録だと開始となる10月までに手続きが完了しない可能性もあるため、早めの登録をしておくべきといえます。
適格請求書発行事業者として適格請求書を発行できないと取引に支障が出る可能性もあるため、早めに申請をするようにしましょう

インボイス制度の登録申請手順3ステップ

適格請求書発行事業者の申請は、2023年3月31日までに手続きをする必要があります。
そこで、登録申請はどのような流れで行うのか手順を3ステップに分けて詳しくご紹介します。

1.申請書類作成

通常の記入項目
項目 解説
住所 法人の場合は本店の所在地又は主たる事業所の所在地
納税地の住所
氏名又は名称 個人の場合は氏名(屋号不可)
法人の場合は法人名(登記名と同じもの)
代表者氏名 法人の場合のみ必要。
個人の場合は空欄でOK。
法人番号 法人の場合のみ必要。
個人の場合は空欄でOK。
事業者区分 課税事業者or免税事業者のいずれかを選択する
税理士署名 税理士に依頼する場合のみ(税理士が記入する)。
登録要件の確認 課税事業者か否かと消費税法の違反歴の確認
免税事業者限定の追加記入項目
項目 解説
個人番号 個人事業者のみ
設立年月日 個人事業者は生年月日を記入
事業内容
事業年度と資本金 法人のみ必要

適格請求書発行事業者の登録には、まず書類の作成が必須です。
これは登録情報が国税庁のホームページで公表されるため情報を申請時に記載する必要があるためです。
申請方法は紙の申請書の他、e-Taxによる電子申請も可能です
申請書は国税庁のホームページからダウンロードが可能で、電子申請も同じく国税庁のホームページからできます。

2.国税庁への提出

提出先
電子申請 e-Taxから送信
書面での申請 国税庁が運営する管轄地域のインボイス登録センターに郵送

書類を作成したら、自社の管轄地域の「インボイス登録センター」に書類を送付します。
電子申請の場合は、e-Taxにログイン後、登録申請データを作成しそのまま提出できます。
e-Taxだと質問に答える形で書類作成ができますので、記入ミスが少なくスムーズに申請ができ効率的です
書類での申請の場合は、書面により登録番号が送付されます。
e-Taxによる電子申請の場合は、電子データを希望した場合はデータで、書面を希望した場合は書面で登録番号が通知されます。
ただし電子データを希望した場合でも、データで送付ができない場合は書面での通知となることがあります。
郵送の場合、送付先となるインボイス登録センターは以下の表を参考にしてください。

インボイス登録センター一覧
名称 管轄地域
札幌国税局インボイス登録センター 北海道
仙台国税局インボイス登録センター 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県
関東信越国税局インボイス登録センター 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 新潟県 長野県
東京国税局インボイス登録センター 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県
金沢国税局インボイス登録センター 富山県 石川県 福井県
名古屋国税局インボイス登録センター 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県
大阪国税局インボイス登録センター 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県
広島国税局インボイス登録センター 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県
高松国税局インボイス登録センター 徳島県 香川県 愛媛県 高知県
福岡国税局インボイス登録センター 福岡県 佐賀県 長崎県
熊本国税局インボイス登録センター 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県
沖縄国税事務所インボイス登録センター 沖縄県

参考:郵送による提出先のご案内-国税庁

3.番号の通知&取引先への通知

登録番号が発行・通知されたら継続的に取引を行う取引先に連絡をしましょう
この時に登録番号を知らせると共に、今後のインボイス(適格請求書)の交付や受領方法についても確認しておくようにしましょう。

インボイス制度の登録申請に関する注意点3選

インボイス制度の開始で必要となる適格請求書発行事業者の登録申請において、事前に注意したいことを3つご紹介します。
登録すると様々な変更が必要となりますので漏れのないよう再度確認しましょう。

電子申請と書面による申請を選択可能

適格請求書発行事業者の登録のための申請は、電子申請と書面による申請を選択可能です
電子申請はe-Taxを使用、紙の申請は国税庁のホームページから申請書をダウンロードし管轄の「インボイス登録センター」へ送付が必要です。
どちらを選択するかは自由ですが、必ず期限内に申請を終えるようにしましょう。

全ての領収書を保管するようにしておく

インボイス制度が開始されると、今後は全ての領収書を保管することが必要となります
今までは税込み3万円未満の仕入れについては帳簿の記載があれば仕入税控除が認められていました。
ただしインボイス制度の開始からは原則として全ての領収書の保管が必要となることに加え、手書きの領収書の場合要件が満たされていないとインボイスとして認められません。
今から保管方法について周知徹底すると共に、電子データによる領収書のやり取りについても検討しておく必要があります。

会計ソフトや請求書発行ソフトの対応状況を確認しておく

導入している会計ソフトや請求書発行ソフトがインボイス制度に対応しているか、その対応状況についても確認しておきましょう
特に、会計ソフトの場合はインボイスを発行する適格請求書発行事業者とそうでない事業者との請求書を区分して管理ができるかどうかが必須となります。
また今後発行する請求書については、インボイス発行に必要となる事項を全て記載したものが作成できるかどうか確認しておきましょう。
今ご覧頂いている鰺坂税理士事務所では、会計ソフトや請求書発行ソフトの導入支援も行っています。
インボイスについて不明点や疑問、不安がある場合にはぜひご相談ください。

【まとめ】インボイス制度は早めの対応が必要

2023年10月から開始されるインボイス制度に対応するためには、2023年3月31日までに登録申請を済ませる必要があります
遅れてしまった場合、取引先と取引ができなくなる可能性があります。
税理士による申請代行も可能なので、期限までに申し込みが難しい・やり方が分からない場合には相談を検討してみましょう。
鰺坂税理士事務所では全国対応でインボイスのご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。