経営セーフティ共済の処理で多くの誤り?小規模企業共済への影響は?

パソコンの前で悩む若い女性

経営セーフティ共済とは、中小企業倒産防止共済の愛称であり独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する共済制度です。取引先が倒産してしまった際に巻き込まれて連鎖倒産したり、経営難になったりすることを防ぐことを目的としています。

法人や個人事業主が加入することで、掛け金(MAX月額20万円)が損金または必要経費となります。40ヶ月以上の納付期間があれば解約時に掛け金が全額もどってくることから、節税対策としても大人気の制度です。

 

さて先日、この経営セーフティ共済に関して会計検査院から国税庁へある要求が行われました。要求というのは、経営セーフティ共済を使った場合の個人事業主の確定申告が適切に行われていないよ、適切に確定申告するために国税庁は国民にきちんとそのためのお知らせをしてくださいね、というものです。

 

この要求により、私たちにどのような影響があるのでしょうか。

そして、同じく独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する小規模企業共済への影響はあるのでしょうか。

 

会計検査院の指摘

経営セーフティ共済制度の詳細についてはぜひググっていただくとして。

ここでは会計検査院という国の機関が、同じく国の機関である国税庁に対して令和3年10月11日付けで改善処置要求を行ったことについて考えます。

改善処置要求の全文がこちらです。

 

要約すると以下のとおりです。

  1. 個人事業主が経営セーフティ共済の掛け金を必要経費に算入するためには所得税の申告書に一定の記載をしなければならないが、多くの事例で申告書にその記載がなく経営セーフティ共済の掛け金を必要経費に算入するための要件を満たせておらず、申告誤りの状態となっている。この事態を改善してほしいところ、令和3年6月に様式を定めて国税庁WEBサイトで周知が行われた。
  2. 経営セーフティ共済の解約手当金は事業所得の収入に計上する必要があるが、多くの事例の申告書で収入計上されていない、または確定申告書が提出されていない。この事態を改善するために国税庁は国民に、解約手当金は収入計上する必要があることを周知する等してほしい。

 

1.2.ともに会計事務所が関与していれば関係ない(申告誤りがありえない)ような内容です。経営セーフティ共済の解約手当金が収入になるって、会計事務所にとっては常識ですし。

しかし個人事業主の方ですと会計事務所の関与がない場合も多いと思います。そういった場合もしっかり経営セーフティ共済制度を理解して適切な確定申告ができるように周知しなさい、という指摘があったとのことです。

 

具体的な私たちへの影響ですがおそらく、過去の確定申告で経営セーフティ共済に関する申告誤りがあると思われる方は、これから修正申告を行うことになろうかと思います。

お心当たりの方は税務署から問い合わせが来る前に修正申告書を提出することをおすすめします。特に解約手当金が収入から漏れてしまっていた、あるいは解約手当金を受け取った年分の確定申告書を提出していない方はぜひお近くの税理士事務所にご相談ください。

 

小規模企業共済に関する申告誤り

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する共済制度のうち会計検査院から国税庁へ指摘があったのは経営セーフティ共済について、でした。

もうひとつの共済制度である小規模企業共済に関する指摘はいまのところ発表されていません。

しかし会計検査院が経営セーフティ共済だけを対象に検査し、小規模企業共済を見ないなんてことはない気がします。

そこで小規模企業共済に関して、ありがちな誤りをご紹介します。

 

小規模企業共済制度の詳細についてはぜひググっていただくとして。

ありがちな誤りのなかでぜひ気をつけていただきたいのが、ズバリ法人成り時の処理です。

 

まず制度として、小規模企業共済に加入するには加入時点の従業員数が一定数以下である必要があります。例えばサービス業(宿泊業・娯楽業を除く)であれば、自身の営む個人事業または法人の従業員数が5人以下である必要があります。

この従業員数要件は共済の加入時点でクリアしていればOKであり、たとえば加入後に事業が拡大し従業員数が要件を超えて増えたとしても問題ありません。共済へは加入し続けることができます。

 

また制度として、個人事業を株式会社にするなどの法人成りをする際には共済契約の引継ぎができるようになっています。

 

しかし!

法人成りによる共済契約の引継ぎ時にはその時点で従業員数の要件をクリアしている必要があります

 

たとえば従業員数3名の個人事業主の時に共済に加入しその後で従業員数が6人になり法人成りしたとすると・・・

共済契約の引継ぎができないため、その時点で解約して共済金を受け取ることとなります。

このことをご存知であればきちんと法人成り時に解約手続きを行うこととなりますが、実際には解約せず共済契約の引継ぎを行っているケースが多く、法人成り後も小規模企業共済の掛け金を支払い、所得控除を行っているのではないでしょうか。

従業員要件を満たせず共済契約の引継ぎができないにも関わらず、誤って共済契約の引継ぎをした場合、そのことが発覚した時点で、引継ぎ時点に遡って解約とります。また、毎月支払っていた掛け金は共済契約の掛け金ではなく、ただの預け金ということになります。

 

つまり、法人成り以降の小規模企業共済の掛け金の支出が全くなかったこととなり、小規模企業共済等掛金控除の適用ができなくなります。当然に申告誤りということになりますね。

また、法人成り時点に遡って解約処理が行われるため、退職所得の申告漏れも考えられます。

 

まとめ

経営セーフティ共済や小規模企業共済を解約した場合はなんらかの会計処理・税務処理が必要なケースが多いため、注意が必要です。

また、小規模企業共済の契約がある状態で法人成りをする場合にも注意が必要です。

ご自分の判断に自信がもてない場合は、ぜひお近くの税理士事務所へご相談ください。

 



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