事業タイプ別の経理マインド

2022年04月06日

起業間もない会社の経営者の方にとって、節税は大きな関心事ではないでしょうか。
実際、相談の現場でも、「節税のために経費にできるものはないか」「経費にできると聞いたが本当なのか」とお客様からたくさんのご相談をいただきます。
ここではよくご相談いただくものが経費になるのかどうかピックアップしてご紹介します。

そもそも、あなたの目指す事業タイプは?

経費についてお話しする前に、まずこのコラムをご覧いただいているあなたが目指している事業のタイプがどちらなのか、よく考えてみてください。
大きく分けて、事業のタイプは以下の2つに分けられます。

SOHO(small office home office)

(組織形態が法人か個人事業かに関わらず)個人や家族、少数の知人の能力の範囲で仕事を続けていく。≒自営業

ベンチャー

社会や世間の支持を受けて(新しい)サービス・製品を広い市場を相手に提供し事業を拡大していく かなりおおざっぱではありますが、起業する際に目指す事業タイプはこの2つのいずれかになると考えて良いでしょう。

なぜこのような事業タイプの話がでてくるのかというと、SOHOとベンチャー、2つの事業タイプのどちらを目指すのかによって経費の考え方が大きく異なるためです。
もしこのコラムをご覧のあなたが起業家であるなら、このSOHOとベンチャーのどちらがあなたの目指すものなのか、考えてから読み進めてみてください。

あなたがどちらの事業タイプを目指すかで、経費の考え方は大きく変わってきます。

経費になるかどうか、よくあるご質問

経費の判断がつきにくいものとは?

経費になるのかどうか、よく相談されるものには以下のものがあります。

  • 社長の携帯電話料金
  • 社長専用の自動車の購入代金やガソリン代
  • 社長の家族旅行の旅費、宿泊費
  • 社長の飲食代(それっぽい同席者名や打合せ内容のメモ有り)
  • 家電量販店やデパート等での買い物(購入明細がなく領収書のみ。品代として。)
  • 一見すると仕事に関係なさそうな観光地近辺の飲食代
  • 一見すると仕事に関係なさそうな知人、友人、家族の結婚式のご祝儀

いかがでしょうか。

これらはいわゆるグレーゾーンと呼ばれる経費の類です。

本来、事業の経費になる支出は「事業のための支出」である必要があります。
しかし、例にあげたようなグレーゾーン経費は「事業のための支出」なのか「事業と無関係な支出」なのかがその名のとおり通りグレーです。
そこで、事業のために必要な支出だったのだと説明できるような証拠とともに領収書を保存しておくことでグレーゾーン経費(なかにはクロい経費もあるかも)をシロく見せて経費にすることもできます。
これらの経費は事業の経費としていいのか、あなたが目指す事業タイプ別に見ていきましょう。

あなたの目指す事業タイプがSOHOの場合

個人事業主として節税の視点を重視し、グレーゾーン経費についてもそのひとつひとつの経費性を検討して経費計上して良いでしょう。
ただし税務調査の現場ではこれらの経費についてなぜ事業のために必要だったのか、説明ができるようにしておく必要があります。
スマホのカレンダーやLINE、写真Appなどにその説明と矛盾する情報がないようにもしておかなければなりません。
また、マイホームの購入を検討している場合は過度の利益圧縮による住宅ローンの審査落ちにご注意ください。

あなたの目指す事業タイプがベンチャーの場合

今後の事業拡大や発展を考えているのであれば、基本的にグレーゾーン経費を事業の経費にすることはおすすめしません。
理由は以下の通りです。

  1. 経理事務を社長や家族でない人物が担うこととなるため
  2. 利益を圧縮して節税することよりも利益をだすことを優先する必要があるため
  3. グレーゾーン経費はその経費性について検討に人間の判断を要するため経理事務の生産性が落ちるため
  4. グレーゾーン経費を減らして社長の役員報酬を増額したほう方が経理事務の生産性が上がるため

家族でない第三者であるあなたの会社の社員さんが「自信をもって経費」として処理できないものは経費にしない方が良いでしょう。

事業の経費になるのかならないのか判断がつかない支出については、経費にすべきかどうかという視点ももつ必要があります。
そして、あなたがどちらの事業を目指しているか知ることで、我々税理士は適切なアドバイスをすることが可能となります。
鯵坂税理士事務所では起業に関する豊富な経験をもとに、あなたがお悩みの支出が経費になるのか、そもそも経費にするべきかをアドバイスいたします。
今ではなく将来の会社のためにも、経費のお悩みがありましたらぜひご相談ください。