2022年度IT補助金制度はインボイス制度の対応を支援!申請前の注意点について

2022年04月19日

2017年から始まったIT補助金制度ですが、2022年は2023年の10月から始まるインボイス制度のスタートを見据えた企業のIT化を支援するため、内容が前年から大きく変わっています。補助金制度は申請期間が短く、倍率が高いため、申し込めば必ず対象企業になれるとは限りません。2021年の採択率が60%前後だったことを考えると、事前準備をしっかり行う必要があるといえます。そこで2022年度のIT補助金制度について、その変更点と注意点について詳しくご紹介します。

2022年度のIT補助金制度の大きな変更点

IT補助金は、ITツールを導入して業務効率化や売上向上を目指す中小企業や小規模事業者の経費を補助する目的により設置された制度です。2021年度は新型コロナウイルス感染症の対策で、テレワーク環境の整備や連携型のITツール導入の補助といった枠が設定されましたが、2022年度は以下の変更が加わりました。

変更点1.インボイス制度に関わるソフトに補助対象を特化

インボイス制度は所定の記載要件を満たした請求書(インボイス)をやり取りすることで、消費税の仕入れ額控除を受けることができる制度で、インボイスの発行及び保存が必要となります。そのため、レジや会計に関するシステム、受注や発注に関するシステムにインボイス対応が求められることになります。2022年度のIT補助金制度では、会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトを補助対象として、補助額が50万円以下の場合は補助率が4分の3、50万円超~350万円の場合は補助率が3分の2と引き上げになっています。

変更点2.クラウド利用料は2年分が補助

ITツールがクラウド化に移行していることを踏まえ、クラウド利用料は最大2年分が補助されます。例年は1年分となっており、小規模事業者持続化補助金は半年分程度の補助しかないことと比べると手厚くなっています。これも2023年10月からのインボイス制度を見据えていることが大きな理由です。

変更点3.新たに補助対象としてPC・タブレット・プリンター・スキャナー等、レジ・券売機等が追加

IT補助金制度の通常枠に加えて設置された「デジタル化基盤導入類型」では、会計ソフト等のソフトの導入費用に加え、ハードの導入費用の支援も追加されました。PCやタブレットの購入費用が補助されるのはレアケースです。これは近年タブレットレジが増加していることも理由と考えられます。

IT補助金制度の利用にあたっての注意点

IT補助金制度を利用するにあたっては、以下のことに注意が必要です。

注意点1.IT導入支援事業者の協力が必要となる

経済通産省が委託する事務局が認定するITベンダー・サービス事業者の提案を受けてITツールを決定することが必要です。また申請もIT導入支援事業者と共同作成をすることになります。

注意点2.採択・交付決定前に購入したツールは補助対象にならない

公募がスタートしたらすぐに交付申請を行う必要がありますが、交付が確定してから契約・購入をしないと補助金は交付されません。申請までにITツールの決定、オンライン手続きに必要となるアカウントの取得、「SECURITY ACTION」の宣言の手続きも必要です。

注意点3.早めの申請が必要

補助金は申し込んだから必ず交付されるわけではなく、予算が消化された時点で終了となります。形式要件の不備等で採択されなかった場合は次の募集で応募も可能ですが、早期終了となることも考え、早めに申請が必要です。

注意点4.審査項目を押さえ採択の取れる申請をすることが必須

IT補助金制度の過去4年で、採択率は50~60%となっており応募したすべての企業が補助金の対象となっているわけではありません。採択されない理由として、IT補助金制度をよく理解しないまま申請し、公募要件にあった記入ができていないことなどが挙げられます。自社にどんなITツールが必要なのか、どういった業務を効率化したいのか、選定の時点でしっかり把握することが必要です。

IT補助金制度を有効活用し業務の効率化を目指そう

2023年10月からのインボイス制度で、今導入しているITツールの見直し、また新たなツールやソフトの見直しを迫られているなら、IT補助金制度の有効活用をおすすめします。ただ、申請は時間がかかることに加え、事前準備やITツールの選択をしっかりしていないと補助金対象にならない可能性もあります。鰺坂税理士事務所では、お客様の会社が必要としているインボイス制度に対応したITツールの選定、業務フローの見直しから最適なソフトのアドバイスまで幅広くお手伝いいたします。採択の取れる申請書類の作成についてもぜひご相談ください。