【2023年10月開始】インボイス制度スタートに伴う注意点・消費税との兼ね合い

2022年07月14日

2023年10月から導入されるインボイス制度は、免税事業者だけでなく課税事業者にとっても把握しておくべき制度です。
「課税される」「消費税を払わなければならない」といったマイナスイメージを持たれている方も少なくありませんが、正確な経理業務のために必要とされている制度であることを前提に、会社側でも対応が必要であるということを理解しておかなければいけません。
そこでインボイス制度とはどんな制度なのか、また導入までに何をすべきなのかを詳しくご紹介します。

インボイス制度とは正確な経理を実施するための制度

インボイス制度とは、仕入れにかかった費用とその費用に含まれる消費税を明記するといった記載要件を満たした書類を作成、発行することで消費税の仕入額控除を受けられるようになる制度のことです。
従来は消費税の税率が一律だったため、仕入れにかかった消費税については各業者が計算し申告すれば問題ありませんでした。
ですが2019年の消費税増税で、軽減税率が導入され、8%の税率の商品と10%の税率の商品とが出てきたため、より正確な消費税納税のために従来の請求書(購入した商品と金額が明記された書類)に加えてインボイス(適格請求書)を発行するようになりました。
2023年10月からインボイス制度が導入されると、インボイスを発行・保存する「適格請求書等保存方式」に適応した書類がないと二重に課税されることを防ぐ仕入税額控除が受けられなくなってしまいます。
同時に、インボイスを発行するために経理システムや請求書発行のシステムの見直しもする必要があります。

インボイス制度のためにすべき準備

インボイス制度に対応するためには、事前の準備がいくつか必要となります。
課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者であるため、課税事業者になるかどうかの選択が必要ですが、ここでは課税事業者であることを前提として、必要なこと・すべきことを見ていきましょう。

適格請求書発行事業者の登録

課税事業者でも、適格請求書発行事業者の登録をし登録番号を取得しなければいけません。
2021年10月1日から登録が開始されていますので、まだ登録をしていない場合には登録申請書を税務署に提出する必要があります。

会計システムの見直しをする

手書きの請求書を作成している場合、適格請求書の要件を満たした内容になっているかどうか確認が必要です。
義務づけられる項目としては以下の6つがあります。

  1. 適格請求書発行事業者の登録番号
  2. 取引した年月日
  3. 取引の内容(消費税8%と10%は分けて明記)
  4. 対価の額と適用されている税率の明記(税込みか税抜きかの明記も必要)
  5. 税率ごとの消費税
  6. 書類の交付をする相手先の氏名や名称

会計システムを導入している場合、システム先がインボイス対応となるようバージョンアップを準備していますので、特に対応は必要ありません。
インボイス制度の開始にあわせ、会計システムの導入、見直しをしておくことをおすすめします。

請求書保管のための管理システムの設定

インボイスの発行だけでなく、仕入れ先から発行されたインボイスについても保管しておかなければ仕入税額控除の申告ができなくなります。
今後は電子書類の保管がメインとなっていくことが考えられるため、こちらも会計システムの導入を考えておく必要があります。

インボイスに対応したレジや受発注システムの導入

従来のレジや受発注システムでは、インボイスに対応していないため見直しが必要です。
新規導入には費用がかかりますので、補助金制度を活用することを考えましょう。
ただし条件等を確認しておく必要があります。

インボイス制度に関する社員への周知

インボイスについては会計・財務の社員だけでなく会社内の全員が理解しておかなければなりません。
特にインボイスを発行できるのは課税業者だけで、その課税業者も適格請求書発行事業者の登録番号を明記していないとインボイスを正式な書類として受け取ることができないからです。

免税業者への対応

取引先が適格請求書発行事業者として登録しているかどうかを確認することに加え、免税業者かどうか把握しておくことも必要です。
課税業者と免税業者の取引は、請求書や納品書を別々に保管しておかなければならないからです。
また今後取引をするかどうかも考える必要があります。
インボイス制度導入後に、インボイスの発行の有無で取引を停止することは法違反になることがあるため注意が必要となります。

インボイス制度に対応するために早急に確認すべきこと

インボイス制度が開始される前に、事業者として確認すべきことはまず以下の2つです。

①課税事業者になるかどうか

免税業者の場合はインボイスが発行できませんので、取引先に消費税の負担が増えることになります。
課税業者となってインボイスを発行すべきか、インボイス制度が開始になる前に決めることが必要です。
適格請求書発行事業者の登録を早くしないと、インボイスの発行ができるのが先になる可能性もあるため、早めの決断が求められます。

②取引先がインボイスを発行してくれるかどうか

逆に取引先が免税業者でインボイスを発行してくれない場合、自社の消費税負担が増えることになります。
免税業者とのやり取りによる仕入額控除は段階的に減り、将来的に廃止となります。
取引を続けるかどうかを判断する前に、適格請求書発行事業者の番号を取引先に確認することも必要です。

まとめ

インボイス制度は正しい金額で消費税が納税されているか透明化を図るために開始される制度です。
ただ、インボイス制度に対する正しい知識や情報を得ないまま、問題を先送りしてしまっている事業者が多い現実があります。
インボイス制度は、免税業者だけでなく課税業者にとっても重要な制度です。
ただし会計システムの見直しなど、変更点が多いため、財務や会計事務の負担は今後増えることが予想されます。
その前にぜひ鯵坂税理士事務所にご相談ください。
適切なアドバイスをさせていただきます。