【保育DX】「書く」から「話す」へ。保育士の日報をAIが自動作成する『保育ボイス・ログ』を開発しました

【保育DX】「書く」から「話す」へ。保育士の日報をAIが自動作成する『保育ボイス・ログ』を開発しました



――AI(Gemini)が現場の「感情」と「暗黙知」を資産に変える、新しい記録のかたち

こんにちは。鹿児島で税理士をしております、鯵坂です。
今回は、税務の枠を超えて、保育の現場に新しい風を吹き込む自作のアプリケーション『保育ボイス・ログ』をご紹介します。

保育園業界に携わる中で、常に感じていた課題がありました。
それは、「保育士さんが、書類作成に追われすぎている」という現実です。

子どもたちと全力で向き合った後、疲れた体でパソコンに向かい、記憶を振り絞って日報を書く…。って、できないよね!?って。
この時間を短縮できれば、もっと子どもと向き合えるはず。もっと早く帰って休めるはず。
そんな想いから、「喋るだけで、日報完了」をコンセプトにしたAIシステムを開発しました。

コンセプトは「思考整理不要。ただ、話すだけ」

『保育ボイス・ログ』は、Googleの生成AI「Gemini」と、身近な「Googleスプレッドシート」を組み合わせたシステムです。

使い方は驚くほどシンプルです。

  1. スマホの録音ボタンを押す。
  2. 今日あったこと、感じたこと、連絡事項を思いつくままに喋る(1分程度)。
  3. 完了!

あとはAIが勝手に「文字起こし」をし、内容を「自分」「他職員」「園児」「保護者」などのカテゴリに自動で仕分け、要約して日報を完成させてくれます。

導入で変わる、保育現場の3つの「利得」

このシステムは単なる時短ツールではありません。現場に埋もれがちな「感情」や「暗黙知」を資産に変える仕組みです。

1. 現場職員のストレス激減&メンタルデトックス

キーボード入力が苦手な方でも、話すだけなら数分で終わります。「上手な文章で書かなきゃ」というプレッシャーから解放され、残業時間の短縮に直結します。
また、AIは愚痴やモヤモヤもしっかり受け止めます。「今日は○○で疲れた…」といった本音を吐き出すことが、日々のメンタルケアにも繋がります。

2. 管理職が見える「現場のリアル」

紙の日報をめくる必要はありません。スプレッドシート上で「Aちゃん」と検索すれば、全職員が語ったAちゃんの様子が時系列でズラリと並びます。
また、職員の声のトーンやネガティブなワードの増加をAIが検知することで、メンタル不調の早期発見や、今まで見えにくかった「隠れたファインプレー(感謝の言葉など)」の発見にも役立ちます。

3. 「語り」だからこそ残せる保育の熱量

書き言葉に変換する際、私たちは無意識に感情を削ぎ落としてしまいます。しかし、このシステムは「話し言葉(生データ)」もそのまま保存します。
「○○くんが、すっごく嬉しそうな顔で笑ったんです!」という保育士の熱量やニュアンスがそのまま記録に残るため、振り返りの質が圧倒的に高まります。

既存の日報アプリとの決定的な違い

一般的な日報アプリと『保育ボイス・ログ』の最大の違い。それは、「左脳(事実)」と「右脳(感情)」の両方を記録できる点にあります。

  • 要約データ(左脳): 忙しい時に、事実関係や連絡事項をパッと把握するために使う。
  • 生データ(右脳): その時の職員の「想い」や「空気感」を知りたい時に読み返す。

人間中心の職業である保育において、この「事実」と「感情」のハイブリッド記録こそが、最強のデータベースになると確信しています。

【進化する未来】「記録」が「気づき」に変わり、年度末の救世主になる

『保育ボイス・ログ』にデータが蓄積されていくと、AIはさらに高度なアシスタントへと進化します。現在構想中の「未来の機能」を少しだけご紹介します。

1. 児童ひとりひとりの「そだち」を自動分析

日々の記録は「点」ですが、AIはそれを繋げて「線(成長の軌跡)」にすることができます。
例えば、Geminiが1ヶ月ごとのデータを分析し、「Aちゃん、今月は『貸して』が言える場面が3回ありました。お友達との関わりが増えています」といった「成長レポート」を自動生成します。

2. 「見守りアラート」でフォロー漏れを防止

「Cちゃんに関する記録がここ10日間途絶えています」といった、人間では気づきにくい「記録の偏り」や「小さな予兆」をAIが検知。誰一人取り残さない、きめ細やかな保育をサポートする「セーフティネット」になります。

3. 年度末の悪夢から解放。「保育要録」のたたき台作成

これが最大のキラーコンテンツです。
Gemini3-Proなどの最新AIは、一度に読み込める情報量が非常に大きいため、「1年分の膨大な日報データ」をそのまま丸ごと読み込ませて分析・要約することが可能です。
「Eちゃんの1年間の記録を元に、保育要録のたたき台を作って」と指示するだけで、具体的なエピソードを盛り込んだ下書きが数分で完成します。(の予定!)

「ゼロから思い出す」苦痛をなくし、「AIが作った下書きを、人間が温かく推敲する」作業へ。
これにより、年度末の残業時間は劇的に削減されるはずです。

実はこれ、「比較的簡単」に作れるんです

「こんなAIシステム、開発に数百万円かかるんじゃ…?」と思われたかもしれません。
ですが、実はこの『保育ボイス・ログ』、Googleの「Gemini-API」と無料ツールの「Google Apps Script (GAS)」を組み合わせれば、驚くほど低コストで、比較的簡単に作れてしまうんです。

特にGeminiは、スプレッドシートなどのGoogle製品と非常に相性が良く、セキュリティ面でも管理しやすいのが特徴です。

大がかりなシステム導入をしなくても、身近なツールの組み合わせで、現場の景色はガラリと変えられます。
「現場を楽にしたい」「もっと子どもと向き合いたい」という想いがあれば、決して不可能なハードルではありません。ぜひ、チャレンジしてみてください!

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