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社会福祉法人の勘定科目一覧と仕訳例|事業費と事務費の分け方まで実務で解説

会計実務

社会福祉法人の経理を任されたとき、最初に戸惑うのが勘定科目の多さと独自の体系ではないでしょうか。一般企業の簿記知識だけでは対応しきれない科目が数多くあり、計算書類ごとに使い分けも必要です。

この記事では、社会福祉法人会計基準(平成28年厚生労働省令第79号)と厚生労働省の「勘定科目説明(別添3)」に沿って、勘定科目の体系・一覧・事業費と事務費の分け方・よく使う仕訳例を整理します。

会計基準そのものの全体像は社会福祉法人の会計基準とは?一般企業との違い、各科目が決算書のどこに表示されるかは決算書の読み方・作り方で解説しています。

この記事でわかること

  • 勘定科目の3層構造と、計算書類ごとにどこまで表示するか
  • 資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表の科目一覧
  • 事業費と事務費の分け方(水道光熱費・燃料費・賃借料・保険料の原則)
  • 給料、介護報酬、補助金、減価償却、借入金返済など10の仕訳例

社会福祉法人の勘定科目体系

大区分・中区分・小区分の3層構造

社会福祉法人の勘定科目は、大区分・中区分・小区分の3つの階層で構成されています。

会計基準では、資金収支計算書の勘定科目は別表第一(第18条)、事業活動計算書は別表第二(第24条)、貸借対照表は別表第三(第28条)に定められています。各科目の意味は、厚生労働省の「勘定科目説明(別添3)」に1科目ずつ説明があります。

科目体系の具体例(介護保険事業の収入):

階層科目名役割
大区分介護保険事業収入事業の種類を示す
中区分施設介護料収入収入の性質を示す
小区分介護報酬収入個別の取引内容を示す

計算書類ごとに、表示する区分の深さが違う

課長通知「運用上の留意事項」25(1)は、様式ごとにどの区分まで書くかを決めています。

計算書類法人単位・内訳表・事業区分内訳表拠点区分
資金収支計算書大区分のみ小区分まで
事業活動計算書大区分のみ小区分まで
貸借対照表中区分まで中区分まで

同じ通知では、「勘定科目の中区分についてはやむを得ない場合、小区分については適当な勘定科目を追加できる」とされています。一方、大区分だけを書く法人単位などの様式は「追加・修正はできない」とされています。実際の仕訳は小区分で入力し、表示の段階で上の区分にまとめるのが基本の流れです。

資金収支計算書の勘定科目一覧

資金収支計算書は、支払資金の1年間の増減を示す書類です。支払資金は、流動資産から流動負債を差し引いた額です。ただし、1年以内に期限が来るため固定資産・固定負債から振り替えた分、引当金、棚卸資産(貯蔵品を除く)は含めません(会計基準第13条)。

会計基準第15条により、事業活動による収支、施設整備等による収支、その他の活動による収支の3区分で構成されます。

収入の大区分

区分大区分
事業活動による収入介護保険事業収入、老人福祉事業収入、児童福祉事業収入、保育事業収入、就労支援事業収入、障害福祉サービス等事業収入、生活保護事業収入、医療事業収入、退職共済事業収入、○○事業収入、○○収入、借入金利息補助金収入、経常経費寄附金収入、受取利息配当金収入、社会福祉連携推進業務貸付金受取利息収入、その他の収入、流動資産評価益等による資金増加額
施設整備等による収入施設整備等補助金収入、施設整備等寄附金収入、設備資金借入金収入、社会福祉連携推進業務設備資金借入金収入、固定資産売却収入、その他の施設整備等による収入
その他の活動による収入長期運営資金借入金元金償還寄附金収入、長期運営資金借入金収入、役員等長期借入金収入、社会福祉連携推進業務長期運営資金借入金収入、長期貸付金回収収入、社会福祉連携推進業務長期貸付金回収収入、投資有価証券売却収入、積立資産取崩収入、事業区分間長期借入金収入、拠点区分間長期借入金収入、事業区分間長期貸付金回収収入、拠点区分間長期貸付金回収収入、事業区分間繰入金収入、拠点区分間繰入金収入、サービス区分間繰入金収入、その他の活動による収入

事業別の主な中区分:

大区分主な中区分
介護保険事業収入施設介護料収入、居宅介護支援介護料収入、介護予防・日常生活支援総合事業収入、利用者等利用料収入、その他の事業収入、(保険等査定減)
老人福祉事業収入措置事業収入(小区分に事務費収入・事業費収入)、運営事業収入、その他の事業収入
児童福祉事業収入措置費収入(小区分に事務費収入・事業費収入)、私的契約利用料収入、その他の事業収入
保育事業収入施設型給付費収入、特例施設型給付費収入、地域型保育給付費収入、特例地域型保育給付費収入、委託費収入、利用者等利用料収入、私的契約利用料収入、その他の事業収入
障害福祉サービス等事業収入自立支援給付費収入、障害児施設給付費収入、利用者負担金収入、補足給付費収入、特定費用収入、その他の事業収入、(保険等査定減)
生活保護事業収入措置費収入、利用者負担金収入、その他の事業収入

私立の認可保育所が市町村から受ける運営費は、委託費収入です。別添3では「子ども・子育て支援法附則6条に規定する委託費収入(私立認可保育所における保育の実施等に関する運営費収入)」と説明されています。

支出の大区分

区分大区分
事業活動による支出人件費支出、事業費支出、事務費支出、就労支援事業支出、授産事業支出、退職共済事業支出、○○支出、利用者負担軽減額、支払利息支出、社会福祉連携推進業務借入金支払利息支出、その他の支出、流動資産評価損等による資金減少額
施設整備等による支出設備資金借入金元金償還支出、社会福祉連携推進業務設備資金借入金元金償還支出、固定資産取得支出、固定資産除却・廃棄支出、ファイナンス・リース債務の返済支出、その他の施設整備等による支出
その他の活動による支出長期運営資金借入金元金償還支出、役員等長期借入金元金償還支出、社会福祉連携推進業務長期運営資金借入金元金償還支出、長期貸付金支出、社会福祉連携推進業務長期貸付金支出、投資有価証券取得支出、積立資産支出、事業区分間長期貸付金支出、拠点区分間長期貸付金支出、事業区分間長期借入金返済支出、拠点区分間長期借入金返済支出、事業区分間繰入金支出、拠点区分間繰入金支出、サービス区分間繰入金支出、その他の活動による支出

人件費・事業費・事務費の中区分(全科目)

日常の経費はほとんどがこの3つのどれかに入ります。

大区分中区分
人件費支出役員報酬支出、役員退職慰労金支出、職員給料支出、職員賞与支出、非常勤職員給与支出、派遣職員費支出、退職給付支出、法定福利費支出
事業費支出給食費支出、介護用品費支出、医薬品費支出、診療・療養等材料費支出、保健衛生費支出、医療費支出、被服費支出、教養娯楽費支出、日用品費支出、保育材料費支出、本人支給金支出、水道光熱費支出、燃料費支出、消耗器具備品費支出、保険料支出、賃借料支出、教育指導費支出、就職支度費支出、葬祭費支出、車輌費支出、管理費返還支出、○○費支出、雑支出
事務費支出福利厚生費支出、職員被服費支出、旅費交通費支出、研修研究費支出、事務消耗品費支出、印刷製本費支出、水道光熱費支出、燃料費支出、修繕費支出、通信運搬費支出、会議費支出、広報費支出、業務委託費支出、手数料支出、保険料支出、賃借料支出、土地・建物賃借料支出、租税公課支出、保守料支出、渉外費支出、諸会費支出、○○費支出、雑支出

法人税などを納める法人は、「その他の支出」に「法人税、住民税及び事業税支出」を中区分として加えます(運用上の留意事項24)。

事業活動計算書の勘定科目一覧

事業活動計算書は、一般企業の損益計算書に相当します。会計基準第21条により、サービス活動増減の部、サービス活動外増減の部、特別増減の部、繰越活動増減差額の部の4区分で構成されます。

資金収支計算書の科目との対応には、次の決まりがあります。

  • 収益側は「収入」が「収益」に変わる(介護保険事業収入 → 介護保険事業収益)
  • 費用側は「支出」を外した名前になる(人件費支出 → 人件費、職員給料支出 → 職員給料、事業費支出 → 事業費)。「○○費用」となるのは、就労支援事業費用・授産事業費用・退職共済事業費用など一部だけ
  • 減価償却費や引当金の繰入など、資金の動きを伴わない科目がある

大区分

部収益費用
サービス活動増減の部介護保険事業収益、老人福祉事業収益、児童福祉事業収益、保育事業収益、就労支援事業収益、障害福祉サービス等事業収益、生活保護事業収益、医療事業収益、退職共済事業収益、○○事業収益、○○収益、経常経費寄附金収益、その他の収益人件費、事業費、事務費、就労支援事業費用、授産事業費用、退職共済事業費用、○○費用、利用者負担軽減額、減価償却費、国庫補助金等特別積立金取崩額(控除項目)、貸倒損失額、貸倒引当金繰入、徴収不能額、徴収不能引当金繰入、その他の費用
サービス活動外増減の部借入金利息補助金収益、受取利息配当金収益、社会福祉連携推進業務貸付金受取利息収益、有価証券評価益、有価証券売却益、基本財産評価益、投資有価証券評価益、投資有価証券売却益、積立資産評価益、その他のサービス活動外収益支払利息、社会福祉連携推進業務借入金支払利息、有価証券評価損、有価証券売却損、基本財産評価損、投資有価証券評価損、投資有価証券売却損、積立資産評価損、その他のサービス活動外費用
特別増減の部施設整備等補助金収益、施設整備等寄附金収益、長期運営資金借入金元金償還寄附金収益、固定資産受贈額、固定資産売却益、事業区分間繰入金収益、拠点区分間繰入金収益、事業区分間固定資産移管収益、拠点区分間固定資産移管収益、その他の特別収益基本金組入額、資産評価損、固定資産売却損・処分損、国庫補助金等特別積立金取崩額(除却等)、国庫補助金等特別積立金積立額、災害損失、事業区分間繰入金費用、拠点区分間繰入金費用、事業区分間固定資産移管費用、拠点区分間固定資産移管費用、その他の特別損失
繰越活動増減差額の部-基本金取崩額、その他の積立金取崩額、その他の積立金積立額

人件費の中区分は、資金収支計算書の8科目に「役員退職慰労引当金繰入」「賞与引当金繰入」が加わり、「退職給付支出」が「退職給付費用」になります。

事業活動計算書にだけ出てくる主な科目

科目区分勘定科目説明(別添3)
減価償却費サービス活動費用固定資産の減価償却の額をいう。
国庫補助金等特別積立金取崩額サービス活動費用(控除項目)国庫補助金等の支出対象経費(主として減価償却費)の期間費用計上に対応して取り崩された国庫補助金等特別積立金の額をいう。
賞与引当金繰入サービス活動費用(人件費)職員に対する翌会計期間に確定する賞与の当該会計期間に係る部分の見積額をいう。
退職給付費用サービス活動費用(人件費)従事する職員に対する退職一時金、退職年金等将来の退職給付のうち、当該会計期間の負担に属する金額(役員であることに起因する部分を除く)をいう。
徴収不能引当金繰入サービス活動費用徴収不能引当金に繰入れる額をいう。
国庫補助金等特別積立金積立額特別費用運用上の取り扱い第10に規定された国庫補助金等特別積立金の積立額をいう。
基本金組入額特別費用運用上の取り扱い第11に規定された基本金の組入額をいう。
固定資産受贈額特別収益土地など固定資産の受贈額をいう。

減価償却の対象は、耐用年数が1年以上で、原則として1個または1組の金額が10万円以上の有形固定資産と無形固定資産です(運用上の留意事項17(1))。

貸借対照表の勘定科目一覧

会計基準第26条により、資産の部は流動資産と固定資産、負債の部は流動負債と固定負債に分かれます。固定資産はさらに、定款で定めた基本財産と、その他の固定資産に分けて表示します。

資産の部

区分中区分
流動資産現金預金、有価証券、事業未収金、未収金、未収補助金、未収収益、受取手形、貯蔵品、医薬品、診療・療養費等材料、給食用材料、商品・製品、仕掛品、原材料、立替金、前払金、前払費用、1年以内回収予定長期貸付金、短期貸付金、事業区分間貸付金、拠点区分間貸付金、仮払金、その他の流動資産、貸倒引当金、徴収不能引当金 など
固定資産(基本財産)土地、建物、建物減価償却累計額、定期預金、投資有価証券
固定資産(その他の固定資産)土地、建物、構築物、機械及び装置、車輌運搬具、器具及び備品、建設仮勘定、有形リース資産、○○減価償却累計額、権利、ソフトウェア、無形リース資産、投資有価証券、長期貸付金、事業区分間長期貸付金、拠点区分間長期貸付金、退職給付引当資産、長期預り金積立資産、○○積立資産、差入保証金、長期前払費用、その他の固定資産 など

負債の部

区分中区分
流動負債短期運営資金借入金、事業未払金、その他の未払金、支払手形、役員等短期借入金、1年以内返済予定設備資金借入金、1年以内返済予定長期運営資金借入金、1年以内返済予定リース債務、1年以内返済予定役員等長期借入金、1年以内支払予定長期未払金、未払費用、預り金、職員預り金、前受金、前受収益、事業区分間借入金、拠点区分間借入金、仮受金、賞与引当金、その他の流動負債 など
固定負債設備資金借入金、長期運営資金借入金、リース債務、役員等長期借入金、事業区分間長期借入金、拠点区分間長期借入金、退職給付引当金、役員退職慰労引当金、長期未払金、長期預り金、退職共済預り金、その他の固定負債 など

純資産の部

区分内容
基本金事業開始等に当たって財源として受け入れた寄附金の額(会計基準第6条第1項)
国庫補助金等特別積立金施設・設備の整備のために国、地方公共団体等から受領した補助金等の額(同条第2項)
その他の積立金(○○積立金)将来の特定の目的の費用・損失に備えるため、理事会の議決に基づき当期末繰越活動増減差額から積み立てた額(同条第3項)
次期繰越活動増減差額事業活動計算書で計算した次期繰越活動増減差額

間違えやすい似た名前の科目

科目勘定科目説明(別添3)
事業未収金事業収益に対する未収入金をいう。
未収金事業収益以外の収益に対する未収入金をいう。
事業未払金事業活動に伴う費用等の未払い債務をいう。
その他の未払金上記以外の未払金(施設整備等未払金を含む。)をいう。
職員預り金源泉徴収税額及び社会保険料などの徴収額等、職員に関する一時的な預り金をいう。
預り金職員以外の者からの一時的な預り金をいう。
設備資金借入金施設設備等に係る外部からの借入金で、貸借対照表日の翌日から起算して支払の期限が1年を超えて到来するものをいう。
長期運営資金借入金経常経費に係る外部からの借入金で、貸借対照表日の翌日から起算して支払の期限が1年を超えて到来するものをいう。

借入金は、何に使うお金か(施設設備か、経常経費か)で科目が分かれます。返済したときの資金収支計算書の区分も変わります(設備資金は「施設整備等による支出」、長期運営資金は「その他の活動による支出」)。

一般企業の勘定科目との違い

項目一般企業社会福祉法人
売上に相当する科目売上高介護保険事業収益、保育事業収益など事業種類別
売掛金に相当する科目売掛金事業未収金
買掛金に相当する科目買掛金事業未払金
利益に相当する概念当期純利益当期活動増減差額
資本金に相当する科目資本金基本金(寄附金が原資)
固定資産の区分有形/無形/投資等基本財産/その他の固定資産
費用の区分売上原価/販管費人件費/事業費/事務費
施設整備の補助金収益に計上国庫補助金等特別積立金として純資産に積み立て
資金繰りの計算書類キャッシュ・フロー計算書資金収支計算書(支払資金ベース)

事業費と事務費の分け方

基本の考え方

厚生労働省の「社会福祉法人経理事務マニュアル」は、事業費は施設の利用者のために直接かかった経費、事務費は本部や施設の運営事務のためにかかった経費と説明しています。

水道光熱費・燃料費・賃借料・保険料は「原則、事業費だけ」でよい

水道光熱費・燃料費・賃借料・保険料の4科目は、事業費にも事務費にも同じ名前の科目があります。利用者分と事務分に按分しなければならないと思われがちですが、課長通知「運用上の留意事項」13(2)は次のように定めています。

「水道光熱費(支出)」、「燃料費(支出)」、「賃借料(支出)」、「保険料(支出)」については原則、事業費(支出)のみに計上できる。ただし、措置費、保育所運営費の弾力運用が認められないケースでは、事業費(支出)、事務費(支出)双方に計上するものとする。

つまり、原則は事業費にまとめて計上してかまいません。事業費と事務費の両方に分けるのは、措置費や保育所運営費の弾力運用が認められないケースです。

なお、自動車の燃料代は燃料費ではなく、事業費の車輌費(「乗用車、送迎用自動車、救急車等の燃料費、車輌検査等」)です。土地・建物の家賃は、事務費の土地・建物賃借料だけにある科目です。

名前は違うが「対」になっている科目

利用者のためか、職員・事務のためかで分かれる科目があります。

事業費(利用者向け)事務費(職員・事務向け)分け方
消耗器具備品費事務消耗品費利用者の処遇に使うか、事務に使うか
被服費(利用者の衣類、寝具等)職員被服費(職員の白衣、作業衣など)利用者のものか、職員のものか
教育指導費(利用者の教育訓練)研修研究費(役員・職員の教育訓練)対象が利用者か、役職員か
給食費(食材。給食を外部委託していても材料費はここ)業務委託費(洗濯、清掃、夜間警備、給食(材料費を除く)などの委託)給食の材料費は事業費、委託料は事務費

事務費にしかない科目には、修繕費、土地・建物賃借料、租税公課、保守料、業務委託費、手数料、通信運搬費、広報費などがあります。事業費にしかない科目には、給食費、介護用品費、保健衛生費、車輌費などがあります。

複数の拠点やサービスに共通する費用の配分方法は、運用上の留意事項13(1)で「実態に即した合理的な配分方法」によることができるとされ、「どのような配分方法を用いたか分かるように記録しておくことが必要」とされています。

実務でよく使う仕訳例

社会福祉法人では、1つの取引が資金収支計算書と事業活動計算書の両方に出ることがあります。以下では、仕訳(事業活動計算書・貸借対照表の科目)とあわせて、資金収支計算書でどの科目になるかを示します。金額はすべて例です。

1. 介護報酬の請求と入金(介護老人福祉施設の例)

請求時(サービス提供100万円、うち9割を国保連へ請求、1割を利用者へ請求)

借方金額貸方金額
事業未収金1,000,000介護報酬収益900,000
利用者負担金収益(一般)100,000

国保連から入金(審査で2万円減額)

借方金額貸方金額
現金預金880,000事業未収金900,000
保険等査定減20,000
  • 資金収支計算書では、請求時に介護報酬収入・利用者負担金収入(一般)となります。事業未収金も支払資金に含まれるため、入金を待たずに収入になります。
  • 保険等査定減は、介護保険事業収益(収入)の中区分として定められた科目です。別添3の説明は「社会保険診療報酬支払基金等の審査機関による審査減額をいう。」です。

2. 職員給料の支払(源泉所得税・社会保険料などを差し引く)

借方金額貸方金額
職員給料300,000現金預金238,000
職員預り金62,000
  • 資金収支計算書では職員給料支出 300,000。職員預り金も支払資金に含まれるため、差し引いた分も含めた総額が支出になります。
  • 経理事務マニュアルも、控除した税金・社会保険料は「職員預り金」として一時的に処理するとしています。職員以外からの預り金は「預り金」です。
  • 非常勤職員なら非常勤職員給与、賞与なら職員賞与を使います。

3. 社会保険料の納付

借方金額貸方金額
職員預り金(本人負担分)44,000現金預金89,000
法定福利費(法人負担分)45,000
  • 資金収支計算書では、法人負担分だけが法定福利費支出 45,000 になります。本人負担分は職員預り金を減らすだけです。

4. 寄附金の受入れ

借方金額貸方金額
現金預金100,000経常経費寄附金収益100,000
  • 資金収支計算書では経常経費寄附金収入。施設整備が目的の寄附金なら、施設整備等寄附金収入/施設整備等寄附金収益です。
  • 土地など支払資金に影響しない寄附物品は、事業活動計算書の固定資産受贈額として計上し、資金収支計算書には計上しません(運用上の留意事項9(2))。

5. 補助金で建物を建てたとき

建物の取得

借方金額貸方金額
建物50,000,000現金預金50,000,000

補助金の受領

借方金額貸方金額
現金預金30,000,000施設整備等補助金収益30,000,000

積立金の計上

借方金額貸方金額
国庫補助金等特別積立金積立額30,000,000国庫補助金等特別積立金30,000,000
  • 資金収支計算書では、建物は建物取得支出(施設整備等による支出)、補助金は施設整備等補助金収入(施設整備等による収入)です。
  • 積立金の計上は資金が動かないため、資金収支計算書には出ません。
  • 補助金が決まっていて入金がまだなら、未収補助金を立てます。

6. 決算時の減価償却と、補助金分の取崩し(5の建物)

減価償却(年100万円、間接法)

借方金額貸方金額
減価償却費1,000,000建物減価償却累計額1,000,000

補助金分の取崩し(100万円 × 3,000万円/5,000万円)

借方金額貸方金額
国庫補助金等特別積立金600,000国庫補助金等特別積立金取崩額600,000
  • 国庫補助金等特別積立金取崩額は、サービス活動費用の控除項目です(会計基準第22条第1項)。減価償却費のうち補助金で賄った部分が、費用から差し引かれる形になります。
  • 土地など償却しない資産に対する補助金は、原則として取り崩さず、純資産に残り続けます(運用上の留意事項15(2)イ)。
  • どちらも資金収支計算書には出ません。

7. 期末の引当金計上

賞与引当金

借方金額貸方金額
賞与引当金繰入2,000,000賞与引当金2,000,000

退職給付引当金

借方金額貸方金額
退職給付費用500,000退職給付引当金500,000
  • 引当金は支払資金から除かれている(会計基準第13条)ため、資金収支計算書には出ません。事業活動計算書と貸借対照表にだけ影響します。

8. 施設整備の借入金を返済したとき

借方金額貸方金額
設備資金借入金1,000,000現金預金1,050,000
支払利息50,000
  • 資金収支計算書では、元金が設備資金借入金元金償還支出(施設整備等による支出)、利息が支払利息支出(事業活動による支出)です。
  • 期末に1年以内の返済分を1年以内返済予定設備資金借入金へ振り替えている場合は、借方はその科目になります。この場合も、資金収支計算書の科目は設備資金借入金元金償還支出です(別添3の説明に「1年以内返済予定設備資金借入金の償還額を含む。」とあります)。
  • 運営資金の借入金なら、長期運営資金借入金元金償還支出(その他の活動による支出)です。

9. 将来の修繕に備えて積み立てるとき

積立資産(預金を別に取り分ける)

借方金額貸方金額
修繕積立資産3,000,000現金預金3,000,000

積立金(理事会の議決に基づき純資産を区分する)

借方金額貸方金額
修繕積立金積立額3,000,000修繕積立金3,000,000
  • 資金収支計算書では修繕積立資産支出(その他の活動による支出)。取り崩したときは修繕積立資産取崩収入です。
  • 修繕積立金積立額は、事業活動計算書の繰越活動増減差額の部に出ます。
  • 運用上の留意事項19(1)では、積立金を計上するときは同額の積立資産を積み立てることとされています。資金管理上の理由で、積立金を積み立てずに積立資産だけを計上することもできます(名称と理由を明確にしたうえで)。
  • 科目名の「修繕」は例です。別添3では「○○積立資産」「○○積立金」として、目的を示す名前を付けます。

10. 拠点区分間の資金移動

本部から施設へ100万円を繰り入れる場合です。

本部の拠点区分

借方金額貸方金額
拠点区分間繰入金費用1,000,000現金預金1,000,000

施設の拠点区分

借方金額貸方金額
現金預金1,000,000拠点区分間繰入金収益1,000,000
  • 資金収支計算書では、本部側が拠点区分間繰入金支出、施設側が拠点区分間繰入金収入(どちらもその他の活動による収支)です。
  • 事業活動計算書の拠点区分間繰入金費用・収益は、特別増減の部に出ます。
  • 別添3の説明は「同一事業区分内における」拠点区分間の繰入金です。本部と施設が別の事業区分なら、事業区分間繰入金の科目を使います。
  • こうした内部取引は、法人全体の計算書類を作るときに相殺消去します(会計基準第11条)。

勘定科目で迷ったときの確認手順

ステップ1:資金が動くかを確認する 現金預金などの支払資金が増減する取引なら、資金収支計算書の科目も必要です。減価償却や引当金のように資金が動かないものは、事業活動計算書と貸借対照表だけです。

ステップ2:区分を確認する 事業活動・施設整備等・その他の活動のどれに当たるかを判断します。建物や車輌の取得、施設整備の借入金は施設整備等、運営資金の借入金や積立資産はその他の活動です。

ステップ3:人件費・事業費・事務費を見極める 人に払うものは人件費、利用者のために直接使うものは事業費、運営事務のためのものは事務費です。水道光熱費・燃料費・賃借料・保険料は、原則として事業費にまとめられます。

ステップ4:公式資料の説明文で確認する 厚生労働省の「勘定科目説明(別添3)」に、科目ごとの説明があります。科目の使い分けや特殊な取引は、課長通知「社会福祉法人会計基準の運用上の留意事項について」も確認してください。

よくある質問

事業費と事務費は、必ず按分しないといけませんか?

水道光熱費・燃料費・賃借料・保険料は、原則として事業費だけに計上できます(運用上の留意事項13(2))。措置費や保育所運営費の弾力運用が認められないケースでは、事業費と事務費の両方に計上します。それ以外の科目は、利用者のために直接使ったか、運営事務のために使ったかで分けます。

勘定科目を自分で追加してもいいですか?

中区分はやむを得ない場合に、小区分は適当な科目を追加できます。小区分をさらに細かく分けたいときは、小区分の下に科目を設けることもできます(運用上の留意事項25(1))。大区分だけを書く法人単位などの様式は、追加・修正ができません。また、制度上その取引が認められていない事業では、その科目は使えません。

車のガソリン代は燃料費ですか?

いいえ。自動車の燃料費は、事業費の車輌費で処理します。燃料費は、利用者のための灯油・重油など(車輌費で計上するものを除く)です。

貸借対照表は拠点区分でも小区分まで書くのですか?

いいえ。貸借対照表は、法人単位でも拠点区分でも中区分までです。小区分まで書くのは、拠点区分の資金収支計算書と事業活動計算書です(運用上の留意事項25(1))。

法人税を払う場合の科目は?

収益事業などで法人税を納める法人は、事業活動計算書に「法人税、住民税及び事業税」、資金収支計算書の「その他の支出」に「法人税、住民税及び事業税支出」、貸借対照表の流動負債に「未払法人税等」を加えます(運用上の留意事項24)。収益事業の考え方は社会福祉法人の収益事業で解説しています。

まとめ

社会福祉法人の勘定科目は、大区分・中区分・小区分の3層構造で、資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表のそれぞれに科目が定められています。

  • 表示の深さは計算書類で違う(資金収支・事業活動の拠点区分は小区分まで、貸借対照表は中区分まで)
  • 事業未収金・事業未払金・基本金・国庫補助金等特別積立金など、一般企業と名前や考え方が違う科目が多い
  • 水道光熱費・燃料費・賃借料・保険料は、原則として事業費にまとめられる
  • 1つの取引が資金収支計算書と事業活動計算書の両方に出るため、両方の科目を確認する

迷ったときは、厚生労働省の勘定科目説明(別添3)と運用上の留意事項に立ち返って確認することを習慣にしましょう。


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この記事で引用した法令・資料

  • 社会福祉法人会計基準(平成28年厚生労働省令第79号)第6条、第11条、第13条、第15条、第18条、第21条、第22条、第24条、第26条、第28条 — e-Gov法令検索
  • 勘定科目説明(別添3) — 厚生労働省
  • 社会福祉法人会計基準の運用上の留意事項について(課長通知)9、13、15、17、19、24、25 — 厚生労働省
  • 社会福祉法人経理事務マニュアル — 厚生労働省

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